記事番号: 3-73
公開日 2025年11月06日
更新日 2025年12月23日
大崎生涯学習センターは2010年12月17日、「さんかく座銀河M33」に新星を発見しました。
下は、大崎生涯学習センター屋上天文台に設置した30cm反射望遠鏡に冷却CCDカメラを装着して撮影した画像です。
左が以前に撮影していた画像、右が発見画像です。右のマーク部分に、過去に存在しない天体が写っています。

この天体を発見した大崎生涯学習センターの職員は、発見当夜のうちに国際天文学連合(IAU)天文電報中央局に「新星らしき天体」として通報するとともに、国内の天体観測者に確認観測の依頼を行いました。
これを受け、山形や埼玉、佐賀、北海道の観測者によって九州の西山浩一さん・椛島冨士夫さんらによって天体の存在を確認する観測が行われました。その結果、IAUはこの天体を「新星」と認定、銀河M33の新星「M33N2010-12a」と命名し、2010年12月19日付け国際天文学連合中央天文電報局電子回報(CBET2595)で公表しました。

新星について
「新星(Nova)」は「超新星(SuperNova)」と共に、星が急に明るさを増してあたかもそこに新しい星が生まれたかのように見える現象です。しかし、実際には星が新たに生まれるのではなく、むしろ星の進化の末期で起こる現象です。
「新星」は、恒星の進化末期段階の一形態である「白色矮(わい)星」という非常に高密度な恒星と、もう一対の恒星が互いに回りあう連星系の場合において起こるとされます。重力の大きな白色矮星に向かって一方の星からガスが降り注ぎ、白色矮星の表面またはその付近で核爆発をおこすのです。これが「新星」の原理とされます。なお、星の一生の最期に、根元から星が吹き飛ぶ「超新星」とは区別されます。また、超新星は、元の天体の明るさからマイナス13等級ないしマイナス19等級も増加する極めて劇的な現象であり、明るさのピークを過ぎても割合ゆっくり減光していくのに対し、新星はマイナス8~15等と増光幅は小さく、またピーク後急激に減光するケースが多くみられます。今回の新星も、急速に暗くなってしまうと予想されます。
私たちの太陽系が属する銀河系は、約2000億個の星の大集団です。その中では1年間に数十個の新星爆発が起こっていると推定されます。しかしながら銀河系内の星間物質が視界を遮っているため、地球から観測されるのは年に数個から十個程度です。また、超新星は、一つの銀河につき数十年から百年に一個のペースで発生すると考えられていますが、銀河系内の超新星は1604年以降発見されていません。新星が発生すれば、小型の望遠鏡でも観察できるほど明るくなることが多く、まれに肉眼でも観測できる光度に達することもあります。仮に銀河系に超新星が発生すれば、まばゆく輝く極めて明るい天体になるはずです。
この新星は、地球から約250万光年の距離にあるさんかく座銀河M33で起こったもので16等級以下と非常に暗く、天体望遠鏡に特殊な天体観測専用カメラを装着してようやく観測できる明るさでした。
新星発見・観測の意義について
現在、超新星や新星の出現を捉えようと、世界の天文台と共に多くのアマチュア天文家が毎夜宇宙を監視しています。こうした活動は、新星や超新星の発生割合の推定、大天文台でのより詳細な観測を可能とする情報提供に結びつき、天文学の発展に貢献する上で重要な意義を持っています。
私たちの銀河とは違って、230万光年離れた隣の銀河・アンドロメダ大銀河M33は、私たちの銀河系より星の数が多く、さらに地球からは全体像を見渡せるために、年間20個程度の新星が見つかっており、新星研究の格好の舞台となっています。この新星発見の7日前の2010年12月10日には、仙台市天文台の小石川正弘さんもアンドロメダ銀河に新星を発見しています。なお、大崎生涯学習センターでは小石川さんの発見の際にも、その数時間前にその出現を捉えた観測を行っており、IAUからPre-discovery(発見前観測)として認定されています。
今回新星が出現したさんかく座銀河M33は、アンドロメダ銀河M31とほぼ同じ距離にありますが、大きさや星の数はその数分の一であり、出現する新星の数も少なめです。ただし、M31と同様、全体をよく見渡せるために監視されています。新星発見は、宮城県内では2例目でした